困難患者への危機介入技法―ケア困難患者・心理療法困難患者危機介入分析面接法
オーガナイザー 宇佐美 しおり(熊本大学大学院生命科学研究部)
トレーナー 小谷 英文(IADP理事長/PAS心理教育研究所)
【目的】困難患者の危機対応場面(面接展開危機状況)における打開面接法を、1) 展開ポイントの取り出し、2) 問題の力動的アセスメント、3) 危機介入展開、の手順を踏み実際の面接技術を身につける。
【対象】ケア困難患者事例を担当している看護、心理職および心理療法/カウンセリング、組織危機介入を行っている臨床家
【定員】30名
【申し込み】
※ 氏名、所属、専門、経験年数を明記の上、担当ケア困難患者および心理療法困難患者、組織の対応について、1) ケース概要 2) 対応困難状況3) 実際の対応で詰まった場面の面接逐語録を、以上3項目をA4用紙1枚に納まるよう記載し、参加申込書に添付して申し込むこと。
※ 先着順の受付受理を原則とし、定員に達した以降の申込者は第2希望の受付に廻っていただきますのでご了解願います。また上記の申し込み記載に漏れがある場合も第2希望に廻っていただくことがありますので、記載漏れのないようご準備下さい。
「果てしない世界の海辺で子供は遊ぶ」 子どもの心理療法のやりがいと楽しさ
トレーナー セス・アロンソン(ウィリアム・アランソン・ホワイト研究所)
このワークショップでは、子どもの心理療法における著名な先駆者であるアンナ・フロイトとメラニー・クラインについて考察していく。子どもの作業を理解することで、臨床家は、彼らの子どもや青年、また大人の患者に対して役に立つ展開の機会を与えるのである。 ここでは、アンナ・フロイトとメラニー・クラインの理論や考えを比較し対比させ、彼女らの理論の展開について議論していく。また彼女らの考えが、今日の子どもとの現代的な心理療法にどのように応用されているか、子どものプレイセラピーにおける技法に着目しながら考察していく。事例の提供者と参加者は、フロイト的またクライン的考えが今日、このワクワクするような子どもとの心理療法においてどのように使われているかを吟味しながら、臨床的な事例のデータを描いていく。
※ このワークショップには当日通訳がつきます。
トラウマ反応の理解と対応
トレーナー 橋本 和典(PAS心理教育研究所 理事・同福島トラウマ心理療法センター 所長)
本ワークショップでは、東日本大震災の中長期PTSDのトリートメントのために開発した力動的集団精神療法(45分×3セッション): 「パンドラグループ」を体験する。世の中のあらゆる厄災が飛び出した後に、エルピス(希望)が残るとするパンドラのメタファーは、PTSDトリートメント原理と合致するからである。トレーニーは、PTSD・トラウマ反応の査定や対応技術について、自身のグループ体験を用いて習熟することを目的とする。あらゆるメガ災害の被災地臨床家は、当然のことながら自身もトラウマを負いながらのタフな仕事になる。また日常臨床においても、現代困難クライエントの自己破壊の問題はそれに対峙しようとするセラピストや心理療法枠組みの破壊をも引き起こす。破壊の乱れを生産的な治療的作業に変えるためにも、セラピスト自身のトラウマ・ケアは欠かせない。そのための力動的集団精神療法の有効性についても学ぶ。
【定員】10名
構造的家族療法入門
トレーナー ラルフ・モラ(個人開業/メリーランド大学)
フロイトの人格構造理論は、個人が外的世界での生活に適合して順応するように努力するときに、イド、自我、超自我のメカニズムが互いに一貫性のあるコミュニケーションをすることを強調した。同様に、ミニューチンの家族構造理論は、家族メンバー間の相互作用は意識と無意識の両方のメカニズムだと仮定し、それらは家族が適応的に世界と関わる手助けをするためものであるとしている。個人の病理と同じく家族の病理は、家族の防衛機制を通じて強化された不適応なパターンを引き起こす。家族システムのなかで構造的な病理は、様々な家族のメンバー間のバウンダリーの問題を通じて最もたやすく可視化される。両親は、初めに子どもの価値体系の基礎構造、すなわち超自我、を与えるユニットと成る。子どもと家族が心理社会的に、また対人関係的に発達していくにつれ、養育における間違いや親の個人的な病理はしばしば拡大され、家族の中の様々なメンバーが取る役割によって強化される不適応なパターンの一部となる。そのような役割は、潜在的な不適応な家族の構造やしばしば世代間にまたがるコミュニケーションの体系によって生じるのである。
精神分析的な個人心理療法とは異なり、構造的家族療法はセラピストによる介入に関して高度に能動的なアプローチを要する。セラピストは、不適応的な家族のパターンとそれらが家族構造においてどのように顕在化し維持されているのか気付かなければならない。家族におけるそれぞれの役割に気付き、それらに対する洞察を得ていくためには、セラピストや個人の家族メンバーが能動的な方略や技術を使うことが必要である。実際には、家族療法では家族病理に対処するための手助けとして家族の自我の健康な部分を利用する。
このワークショップでは、最初に構造的家族理論の概要と、それがどのように自我心理学の原理(教義)を反映しているかについて焦点を当てていく。さらに構造的家族理論の主要な側面を強調するために、ビデオや参加者による実演(デモンストレーション)の両方を活動として行う予定である。査定や倫理的・実務的な配慮についても議論していく。
【目標】
・ 構造的家族療法の理論およびそれが自我心理学とどのように関連しているのかについての知識を得ること
・ いつ・どこで・どのように構造的家族療法のアプローチを使うべきかについての知識を得ること
・ 心理力動的な枠組みの中で構造的家族療法を実施することに対する実践的な知識を得ること
・ 構造的家族療法を行うことに関する倫理的・実務的な配慮についての知識を得ること
※ このワークショップには当日通訳がつきます。
応答構成入門
トレーナー 能 幸夫(PAS心理教育研究所)
有光 裕子(PAS心理教育研究所)
応答構成訓練とは、実際の心理面接から再構成されたクライアントの発言を素材に、その発言に対する援助者自身の応答を体系的に組み立て、精錬していく訓練です。 具体的には、クライアントの発言を載せた抜粋を前にして、すぐ浮かんでくる応答を皮切りに、発言内容、クライアント感情、セラピスト感情を整理した上で、応答を構成していく訓練です。 わたしたちの臨床の仕事はこの応答能力そのものが武器となります。心理療法の訓練は、応答構成に始まり応答構成に終わるといっても決して大げさなことではないのです。 本ワークショップでは、この応答構成をやってみて、その面白さを体験することが目的です。応答構成を体験してみることで、これから心理療法を学ぼうとする人や心理療法に関心があっても実際にケースをもってない人にとっても、心理療法の基礎に触れるチャンスとなります。 ともに楽しく学びましょう。
【定員】7名以内